第一回「2021 不登校生のための進路相談会」を開催しました

hiro

2021年07月11日 22:08

7月4日、第1回「2021不登校生のための進路相談会」を開催しました。
12組19名の参加者(うちZoom参加2名、子ども1人)がありました。
初めてのZoomでの開催はトラブルなく行うことができ、「参考になりました」というご意見をいただくことができました。
高校からの進路指導担当の先生、子どもの居場所、フリースクールの代表やこれからフリースクールを開設する方の参加がありました。

今回の体験談は、小4から不登校になり、小6から通ったフリースクルーに通い、通信制高校を卒業して、フリースクールのスタッフとして働いている伊藤朋美さん。
当日は、静岡新聞の取材にも対応してくださったので、今回は実名での体験談を掲載します。


質問者は、当団体代表(フリースクールドリームフィールド代表)です。

伊藤:小4から不登校になり、小6から通ったドリームフィールドに通い、中学校には一日も登校したことはない。静岡中央高校に3年間通い卒業して、ドリームフィールドのスタッフとして働き、いまもフリースクールに通っている子どもたちのサポートをしている。

大山:最初来たのが、小学校6年生、そのときのいきさつは?

伊藤:幼稚園の頃から、集団行動が苦手で、幼稚園の先生が母親に「萌美ちゃんは、いつでも一人で遊んでいるんです」という子だった。自分は、それが楽で自覚がなかった。小学校に入学すると女子の派閥の中で、上手くやっていく技術身につけなければならくて、陰口をいうのに賛同しなければならなくて、陰口を言わないと自分が対象になる。それに賛同するの自分が嫌だし、友人関係にすごく疲れていた。でも、自分が疲れていることには、小学校低学年の頃は気づいていなくて「なんで仲間はずれの対象になるんだろう」翌日学校に行くと「なんで無視されるんだろう」という疑問をいだき、学校にいきたくないなということを繰り返しながら低学年を過ごし、順調に学校に通っていたわけではなかった。
小学校4年生の時にクラス替えがあり、そのときに「終わった。この中でやっていけるわっけはない」と思った。その時は、学校にいけなくなる理由が、自分の中で友達関係が上手くいかないということを自覚していなかった。始業式が近づくに連れて体調が悪いことが増えて、理由は分析できていなかったので、「なんで学校に行きたくないのか」、親も「なんでいかないんだろう」、クラスの子もなんで学校にこなくなったんだろう」、近所の人も「なんで学校にいかなくなったんだろう」という印象で、すごく静かにストレスをためていて、学校に通えなくなった。結果的には、通わなくてよっかたのではないかと自分では、ずっと思っている。
小学校4年生で学校に行かなくなり、そこから人と会うのが怖くなった。外に出たら、買い物に行っても病院に行っても同級生に会うので、1年間はひきこもっていた。5年性からは友達に会っていたけど「学校に行けてた方がいいのかな、でもいきたくないし」とモヤモヤを感じていた。
6年生のときに親がドリームフィールドができるのを知って、親は通えることを期待していたわけではないけど、自分の中で何かここならと思って「行ってみる!」となって、いまがある。

大山:不登校になって、家の人の反応はどうだったの?

伊藤:私の家は、7歳上の姉が不登校になっている。姉は、大変な思いをしていて、親も祖父母もどう対応していいかわからなかった。姉が精神的に、どんどん悪くなって、姉のおっかげで、私が不登校になっても受け入れられた。母もすごく私が行かないことで悩んでいたみたい。ある時、「学校に行ってない」と言ってしまえばいいんだと、開き直ったら楽になったと言っていた。

大山:お姉ちゃんと対照的だったのは、お姉ちゃんは追い込まれていた。親は悪意を持ってではなく、本人のためを思っていたつもりだけど追い込まれた。もみちんの場合は、そんなに圧がかからず、親が開き直ってくれて、自分らしさを持つことができた。
親が本当に闘うのは、「学校に行かなきゃダメ、学校に行かせなきゃダメ、学校を出ていないとダメ」という既成概念、固定概念だが難しい。
フリースクールにきはじめの頃は、こうでなければいけないというのはあったの?

伊藤:誰かに悪口を言われなくて良いという世界があるとは知らなくて。ドリームフィールドに通い始めて、だんだん自分らしくいても悪く言われたり、仲間外れにされることがないんだと思った。

大山:学校だけではなく、社会の中でも窮屈な集団もあるし、自分らしく生きれる場所もあるし、自分らしく生きられる場所を見つけることが大事かなと思う。
ドリームフィールドにきて、一番の支えになったのはベースかな?

伊藤:そうですね。ドリームフィールドは、私が入ったころからバンド活動をしていて、その影響を受けた。
きっかけは、「サルサガムテープ」という障がいのあるないという関係なくかっこいいバンドで、女性がエレキベースを弾いていた。私の中では、女性はピアノをやる、歌を歌うイメージがあって、そのバンドをみたときに、そのイメージが覆されて、女性のベーシストがかっこよくて、バンドがエネルギッシュで、私もやってみると始めた。ここまで続けると思わなかったけど、いまも弾いている。

大山:ベーシストは、かおりさん。ブルーハーツの梶原さんも入っているバンドで、梶原さんは月一でフリースクールに講師にきてくれている。

伊藤:ベースを始めたことで、すごく自分に自信がついた。自分のことを認められることが増えて、学校に行ってたら楽器を始めることはなかった。12歳の終わりから始めたけど、学校に行ってなくても、新しい趣味ができて、学校に行ってない方が良いんじゃないと思った。ベースに助けられた。

大山:さらっとベースをやってると言ってるけど、もみちんのロックなグルーヴがあって、いろんなグループとやっているけど、本当に気持ちがいい。
スクールオブロックというイベントに参加して、スクエアというバンドの人がみていて、ヤマハの人から連絡が来て、「是非、東京にでてきてやりませんか?」と誘われたけど、サラッと断ったよね。

伊藤:あまりにも冒険する気持ちがないので、東京ってわからないし、普通に弾いていても楽しいし、満足していた。

大山:自分なりに自分の生き方を選んで、自分で判断するというのはすごい。
舞い上がって、プロに呼ばれたと東京に行ってこようとあるけど、保障してくれるわけではない。来たら来たで、どこまで面倒見てくれるかわからない。
サラッと断って、他のベーシストとしたら、何で断るのとなるけど、自分で判断できちんとできたのはすごい。
その頃から、学童(児童デイサービス)に関わってもらって、いまは常勤のスタッフとなっている。
そこまで、いろいろ迷いもあったと思うけど。学童の子と中学生以上の子と関わることは違うけど、その辺りはどう?

伊藤:みんな不登校を経験しているのは同じだけど、それぞれ理由も抱えているものも、こだだわりも違うし、自分がこうだったというのが必ずしもあっているわけでない。いまでもそうだけど、悩んでいる子に本当にアドバイスや接し方ができているかなと、ずっと思いながらやっている。

大山:自分たちの仕事は、日々悩むことは大事で、常に関わりながら悩んでやらなくては。
なぜなら、みんなそれぞれ違う個性をもっているから。
静岡城北通信制高校に行っていたころの話を聞かせて。

伊藤:自分より、上の人が通っていたし、困ったときに一緒に通える人がいるという心強さがあった。私自身、学校が変わっても学校は合わないと思っていたけど、高卒の資格は取りたいと思っていた。静岡中央高校は、無理に友達を作ったり、クラスの中でみんなでやりましょうというのがなくて、自分のペースで学びたい気持ちを優先した。人間関係に無理に取り繕っていく場所を選ぶよりは、ドリームフィールド通いながら、静岡中央高校で勉強したいと選んだ。

大山:入ってみて、どうだった?もみちんの場合は、ペースよくやっていたようだけど?

伊藤:でも、行くの嫌だった。順調に行ってたかというとそうではなかった。勉強自体は嫌ではなかったけど、新居高校へのスクーリングやテストに行くとき、浜松駅から乗り換えるときに「いまなら帰れる」と思って、嫌々いいながら通っていた。
ある日母に、「そんなに嫌なら行くのやめても良いよ」と言われたら、「やっぱいくわ」となった。やめる選択肢があるとわかったのが良かったのかな。それからは、コツコツ単位を取るように行こうと思って3年間行きました。

大山:無理して行かなくてもいいという選択肢があることによって、救われることがある。

伊藤:1回は行ったら、ちゃんと通わないというプレッシャー、高校に限らず、何でも続けなくてはいけないのかなと思う。逃げるのも一個の選択があると、自分に合わないならやめてみるのもありかと思ったところで、もう少し行ってみるかと通っていた。
3年で卒業したから頑張ったねじゃなくて、早く嫌なことを終わせたかった。
自分のペースで5年、6年通えるのもすごいなと思うので、早くければいい遅いのはゆっくすぎるとは思わない。

大山:いまは、専任スタッフとしてやっていると、いろんな特徴のある子がいる。
もみちんはコツコツやれる人、突発的な対応もできるようになってきている。
参加者の子どもさんも、いまの状態だと社会に出れるんだろうかと不安があるかもしれないけど、その子にふさわしい場所とかその子の特徴を生かせる場所がいけば、社会の中で活動できる。ストレスが強い場所だと、その子の個性や特徴が出やすい。もみちんもストレスが強いと、不安が強くなる。
子どもさんが特徴的で困っているということは、ストレスかかっているかもしれない。学校に行かなくてもいいという選択肢がなくて、周りが行かなくもいいと言ってもこだわるかもしれないストレスかかかっているかなとみてあげるといいかなと思う。
もみちんの経験値も上がって、スクールカウンセラーばりに話も聞けるしアドバイスもできる。
これからの抱負、こうしていきたいということは?

伊藤:自分の持っているイメージで、子どもを決めつけない。決めつけると自分をせばめることにもなる。自分の印象で、できるできないの枠に納めない。人はすごく変わると思っているので。

大山:やらせてみようと指示的なものでなく。

伊藤:強要するものでない。私のベースもそうだけど、印象的にはやりそうではなかったけど、きっかけがあればいい方向でやることになると思う。

大山:自分ももみちんがベースを始めると思わなかった。でも、きっかけがあって始めた。人間は変わっていく、子どもは無限の可能性があると思っている。

次回の相談会は、9月19日(日)13:30~アイミティ浜松です。










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