2022年09月13日

第3回「2022不登校生のための進路相談会」を開催しました。

9月4日、第3回「2022不登校生のための進路相談会」を開催しました。

新学期が始まったためか、参加申し込みと問い合わせが直前まであり、今回は会場19名(子ども2人)、Zoom9人の参加者がありました。
小学生から高校生の不登校の相談がありました。高校生の不登校は、9月末に単位が取れなくなる留年か中退か、中退の場合はどうしたらいいのか?転入・編入はできるか?という相談が、毎年この時期にあります。
今回は、体験談を聞いたZoom参加者の方が、感想をすぐに送ってくださり、体験談を話してくれた伊藤さんに伝えることができました。
Zoom参加のならではのリアルな出来ごとは、私たちにも嬉しいことでした。

〇浜名高校の定時制の中村先生から、定時制の情報をお話ししていただきました。
・今年の高校一年生から、教育課程が変わっている。世界史がなくなって、歴史総合になっているなど。履修科目、必修項目はいくつか変更ある。
・2024年度から、金谷高校が単位制定時制高校になって、不登校生を受け入れていくことになるなど、変わっていくことがこれからもある。
・定時制のほとんどは不登校生を受け入れている。
・浜名高校定時制の特徴としては、半分が外国籍、日本人はだいたい不登校生が多い。
人数的に一番多い定時制は、磐田南高で120人くらい、学年で40人くらい、浜名高校は30人くらい、あとは15~20人くらいが入学してくる。定員は40人。時期によって学校の入学者が、どーんと増えるときもある。
・勉強のサポートについては、大学の進学を考えると定時制は厳しい。数学は高校のレベルかと・・教員としては、ある程度のレベルで卒業はさせたいと思ってはいるが頑張っているから卒業させたいというせめぎあいがある。
・進路については、就職が多い。アルバイトができるので、在学中にアルバイトしてマッチングを図ることができる。就労支援をしている方や機関にきていただいたりしている。
・進学は、AOとか総合、指定校の推薦で入っている。
・不登校生でも全日制高校に入れないことはない。「静岡県の公立高校をめざすあなたへ1(その2)」kouritsukoukou1-2 (pref.shizuoka.jp)の中に書いてあるように入試の仕組みには3段階目があり、テストの点数が取れない、欠席が多い、面接がよくないとかで残っている生徒の良いところを見つけて入れましょうする学校があるので、「これが」というのがあれば入れると思います。ただ、不登校生に対するサポートは、ほとんどないと思う。


今回の体験談は、小4から不登校になり、小6から通ったフリースクルーに通い、通信制高校を卒業して、フリースクールのスタッフとして働いている伊藤萌美さん。
質問者は、当団体代表(フリースクールドリームフィールド代表)です。

大山:フリースクールに入ったのは、何年前?
伊藤:18年くらい前。ドリームフィールドができたのが2004年で、その時に私は小学校6年で通い始めた。

大山:フリースクールに入った時のことを話して。
伊藤:小4から不登校になり、もともと自覚はなかったけど、集団生活が合わなかったと思う。学校はみんなで一緒にやることとか枠の中からはみ出さないようにしなくてはいけないというのがプレッシャーであって、友だちを作った中で上手くやらなくては上手くいかないのも苦しくて。小学校4年生の時にクラス替えがあり、そのときに「この中でやっていけない」と思って不登校になった。
でも、その時は自分がどうして苦しいのか、学校のことを考えると気分が悪くなるのか頭がいたくなるとか、体調にでるのは結びつかなかった。最初は、体調不良で学校に行けなくなった。

大山:お姉ちゃんから、フリースクールの紹介をうけた?
伊藤:姉も不登校で、姉が通っている病院の先生から教えてもらった。先生が、大山先生と知り合いで。親は、私がフリースクールに通うことは期待していなかった。
ずっと家の中で暮らしていて誰にも会いたくないという気分だったし、親もフリースクールに行くことをすすめなかった。私が通う段階にあると思っていなかった。
たぶん、家の中で生活することに飽きてきたと思う。「じゃあ、私もいってみる」と通い始めたのが、きっかけ。で、ずっといる(笑)。

大山:入ったころは、毎日勉強してたよね。
伊藤:何かを吸収することが好きだった。勉強することは普通ではなくて、学校で勉強することが嫌だと思っていなかった。勉強が得意ですかと言われると、得意ではない。流れでやっていくのが安心だった。

大山:ステップアップしていくに重要な役割となったのは、エレキベースだよね。今でも人生の半分を占めていると思う。
伊藤:ドリームフィールドは、大山先生が音楽をやっていて、ドラムやピアノ、ボーカルの音楽講師が来てくださってる。音楽活動が盛んで、ドリームフィールド主催のライブが開かれていて、その中で「サルサガムテープ」という障がいのあるないという関係なくかっこいいバンドで、女性がエレキベースを弾いていた。その時は思っていなかったけど、女の子だから男の子からという枠に何にもはまっていない、私がベースを楽しそうに弾いてもいいんだと思った。
いま30歳ですが、12歳の頃から始めて30歳になるまで続けようとか、これからベースを始めたら人生が変わるかもという期待を持っていたことはなく、ただ楽しそうだから私もやってみたいとシンプルに思ったのが、自分の自信にもなっているし支えるものになっている。

大山:スクールオブロックというイベントに参加して、スクエアというバンドの人に見込まれて、ヤマハの人から連絡が来て、「是非、東京にでてきてやりませんか?」と誘われたけど、断ったのは高校に頃だった?その時は、どう思った?
伊藤:「勘違いしているのだろう?」と思った。
自分がベースを続けていられればいいと思った。東京って怖そうだし内向的なので、ドリームフィールドでベースを続けることが、自分のやりたいことだと思った。

大山:静岡中央高校通信制に入るのは、迷いはなかった?
伊藤:ドリームフィールドは、自分より上の人が通って人が多かったし、迷うことなく選んで入学した。

大山:通ってみてどうだった?3年間で、卒業したよね。
伊藤:もちろん、頑張ったけど、すごいとかえらいとかではなく、とにかくただ早く終わりたかった。その時の自分は頑張ってえらいと思うけど、高校を3年間で卒業したからえらいでしょとかでなくて、ただの事実でしょと思う。

大山:高校に入って、良かったこと、苦手だったことは?
伊藤:良かったことは、友だち関係を強制されないこと。クラスの中でやっていける自分をつくらなければならない。ひとりで過ごしてもかまわないと思うけど、「あの人ひとりで過ごしているね」と少しでもはみ出すことが許されないとか、ちょっと変わり者というのも許されないという空気が学校にはあると私は思と感じている。静岡中央高校通信制は、クラスは一応あるけどクラスで何かしましょうというのはない。ホームルームはあるけど何クラスとか集まっていて同じクラスの人が誰かも正直わからないっていうくらいのクラス分けで、友だちをつくらないとやっていけないとか、だれかの輪の中で自分をつくならければならないというのがなくてすごくよかった。自分が行く時間に向けて行き、テストがあり、スクーリングあり、一日の中で組立てて終わったら帰る。そこの人間関係にやきもきしなくてもいいのは、私には合っていた。
苦手なのは、日曜日と木曜日にスクーリングがあって、授業を聴くのがいやで電車の中でいまなら帰れると思って乗っていた。スクーリング以外のテストやレポートが嫌ではなくて、スクーリングに行くのが嫌だった。

大山:授業は、そんなに楽しいもんじゃないし。
 高校を卒業して、スクールのスタッフになった。高校通っているときも成長していると思ったけど、卒業してからも成長している。自分では思っていないかもしれないけど。
いろんな子たちのサポートしている。日々気疲れもすると思う。苦手なところもやってくれているけど、苦手なことはどんなところ?

伊藤;びしっといわないといけないところ。良い悪いをその場でギャッジして、びしっというのは、学校にいるときもあんまり自分の意見を言わないでうまく一日を終わることを重視していたので、自分のどう見られたいかというのを捨てて対峙して言うことは苦手なことでけど、やるしかないと思ってやっている。

大山:サポートされていた方から、サポートする方に立場が変わって大変だと思う。
一般的な臨床心理士、スクールカウンセラーとか全然違う、経験を積んでいる力があると思って頼りにしている。
これから先の自分のサポートの仕方とか課題はある?

伊藤:ドリームフィールドで子どもたちと接していて思うのは、高校や大学に入ってオッケ―ですという目に見えた区切りはないと思う。私が支えてきてもらった同じように、通っている子がこれから社会で生きていくサポートしていくと考えると、子どもと大人としてかかわる部分はあると思うけど、人として関わっていくことが重要だと感じている。私も責任をもって言わなければならない。厳しく言うときに、相手の機嫌損ねても嫌だしとか嫌な思いされたら私も嫌だしとか、目先の守りに入ってる場合ではなくって、この子が生きていくために良いことや悪いことであったり、高校卒業できていいということもあるけど、学力以外の社会で生きていく力、自分が人間として向かい合ってサポートしていくことが、今後もやっていくことだと思う。

大山:それは、参加している親御さん、子ども達に取り巻く大人たちも視点が必要だと思う。人が一人育って、自分の足で歩いて生きていくことを見据えて支えていくことが必要。
スクールに入ったころ、中学生の頃の自分にアドバスするとしたら?

伊藤:ドリームフィールドに入る前の子どもの自分にいうとしたら、「自分が型にはまっているかどうかは気にしない方がいい」が一番、いま型にはまっているからいい、はみ出しているからはずかしいと周りの目の評価が気になると、大人になってからも苦しいと思う。アドバイスは受け入れるけど、いろんな人の良い悪いのギャッジにブレないように。親身にアドバイスは大切にするけど、枠にはまっているかどうかは気にしないでほしいと声をかける。

大山:子どもが自分らしく生きるように機会をつくっていくみつけていくという立場で関わってほしい。

【Zoom参加のからの感想がありました】
体験談を聞いて、みんな進路を安定させるためにある時期から勉強勉強と言い出して、例えばベースみたいな何になるかわからないものをやめさせる傾向にあると思いますが、何よりも進路を決定し何か進むために、子どもを支える何か必要かということを親は忘れてしまうのだなと思いました。ベースに出会えて、本当に良かったですね。
伊藤:ありがとうございます。

次回は、10月23日(日)13:30~アイミティ浜松です。今年度、最後の開催になります。



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Posted by hiro at 23:31│Comments(0)活動事業
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